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【連載】MSP繁盛プログラム

本コラムは、実際にコンサルティングの現場で活用されている、最短で飲食店の売上を上げる方法『MSP繁盛プログラム』についての連載です。順番に実践していただけたらと思いますので、よろしければ最初からお読みください。

顧客満足と固定客化の仕組みを作る_Step2 ウリの商品を注文してもらう仕組みを作る(MSP繁盛プログラム#09)

【ざっくり言うと…

  • ウリの商品を注文してもらう仕組みを作ることは固定客化の仕組みへの重要なステップ。
  • ウリの商品を注文してもらうための5つの仕組み。
    (1)店外で知ってもらう仕組み
    (2)店内で知ってもらう仕組み
    (3)価値で選んでもらう仕組み
    (4)選んでもらえるネーミング
    (5)注文率が上がる商品説明

Step2 ウリの商品を注文してもらう仕組みを作る

特に初回来店のお客様には、
ウリの商品や看板商品を、
必ず注文してもらうことが大切です。


これらの商品は、
あなたのお店が自信を持って提供する
素晴らしい品々です。

お客様に食べていただければ、
必ず顧客満足度が向上します。

したがって、
ウリの商品を注文してもらう仕組みを作ることは、

顧客満足度の向上、
リピート率の向上、
そして固定客化の仕組みへの重要なステップです。

ウリの商品を
確実に注文してもらうためには、
以下の5つの仕組みを作っていきます。

仕組みというと
難しく感じるかもしれませんが、

一度実施したら、
しばらく何もしなくても良いというのが仕組みです。

すぐにできることが多いので、
安心して読み進めてください。

ウリの商品を注文してもらうための5つの仕組み

ウリの商品を注文してもらうには、ついの5つの仕組みを作っていきます。

  1. 店外で知ってもらう仕組み
  2. 店内で知ってもらう仕組み
  3. 価値で選んでもらう仕組み
  4. 選んでもらえるネーミング
  5. 注文率が上がる商品説明

最初に
店外でお客様に商品を知っていただく
仕組みを考えます。


店舗の外観や壁面を活用して
ウリの商品を告知する看板を設置したり、

店頭のポスターやタペストリで
ウリの商品を伝えます。

またチラシをポスティングしたり、
通行人にショップリーフレットを手渡しする等、

店外でウリの商品を知らせる仕組みを作っていきます。

次に店内で知ってもらう仕組みを考えます。

お客様が店内に入ってから
注文するまでの間に、

POPやポスター、
メニューブックなどを活用して、

ウリの商品や看板商品を
分かりやすくアピールする仕組みを構築します。

3つ目に、
価値で注文してもらう仕組みを考えます。

飲食店にはお客様に、
おいしそうな印象を
食べる前に持ってもらう必要があります。

そのため、
こだわりやストーリー等を通じて
お客様に魅力を伝える仕組みを作ります。

4つ目は、
お客様に注文してもらえるネーミングを考えます。

ネーミングによって、
注文率を向上させることができますので、

ウリの商品は、
今の商品名で良いのか、
商品名を変更したらよいのかを検討しましょう。

最後に
注文確率を上げるための
商品説明を考えます。


スタッフによるオススメの提案や、
メニューブックやPOPを活用した説明を
工夫することで、
お客様の注文率が上がります。

これらのアプローチを順番に実施していくことで、
ウリの商品を注文してもらう仕組みを構築していきます。

事例を交えて具体的に説明します。

1.店外で知っていただく仕組みを作る

まず、こちらの事例をご覧ください。

壁の広告スペースを利用して、
店外で告知しています。

広い店舗の場合、
壁を有効活用して、
通りすがりの車にも知ってもらえるように工夫しています。

また入口付近には
タペストリーやポスターによる告知を行い、
通行人にウリの商品を知ってもらう取り組みをします。

2.店内で商品を知っていただく仕組みを作る

店内でのアプローチとして主に、

  • メニューブックでウリの商品を誰がみてもわかるように伝える
  • テーブルPOPやタッチパネルのスクリーンセーバー等、テーブル上やお客様の目線が行きやすい壁等でウリの商品を伝える
  • スタッフが直接オススメする

の3つがあります。

(右)
メニューブックでウリの商品を伝える。

(左)
壁にウリの商品のポスターを掲示

3.価値を伝えて選んでいただく仕組みを作る

飲食店では、
お客様が料理を選ぶ前に
その価値や魅力を感じることが重要です。


したがって商品の特徴や背景を強調し、
お客様に価値を伝える仕組みを考えます。

これは「P」の
Step3.価値情報を創り、組み込む」で
詳しくお話していますので、ここでは、
料理の歴史のストーリーから
商品開発に繋げた事例をお話しします。

実は先日、
台湾で汁なし担々麺の開発に関わりました。

その時に、
坦々麺の歴史についても調査しました。

担々麺は、
1850年頃の中国四川が起源だそうです。

ちなみに「担」とは「担ぐ」を意味し、
当時の坦々麺商人は肩に棒を担ぎ、

前後に桶を吊るして
前の桶に調理道具を入れ、
後ろの桶に食材を入れて、

お客様が来ると店を広げて
出来立ての坦々麺を提供するという
斬新なスタイルで商売をして
人気となりました。

しかし汁の持ち運びは重いので
担いでの移動は難しい。

だから坦々麺の元祖は
汁なし担々麺だったそうです。

その後、
日本で四川料理の父と呼ばれる陳建民さんが、

昭和の時代に、
四川料理を日本で紹介する中で
坦々麺も日本に広まりました。

しかし坦々麺を紹介する際に
陳建民さんは悩んでいました。

なぜなら坦々麺は
日本人には辛すぎたからです。

すると奥様が建民さんに
「日本人はラーメンが好きだから、汁あり担々麺にしたらどう?」
とアドバイスしました。

汁あり坦々麺を開発する過程で、
四川では使っていない胡麻ペースト(芝麻醤)を使用して、

日本人の味覚に合った
坦々麺を生み出しました。

これが今日本で一般的になっている
日本版坦々麺のルーツです。

そして2000年頃、
広島のとあるラーメン屋さんが、

四川から来た留学生の
料理教室に麺を提供したのをきっかけに、

汁なし担々麺を
開発して店で出しました。

これが人気となり、
いろんなラーメン屋さんが
汁なし担々麺を提供するようになりました。

その結果、
汁なし坦々麺は
広島のB級グルメとしても知られるようになりました。

そして、
汁なし坦々麺は日本全国に広がっていきました。

今では胡麻を使っていない
四川の元祖に近い汁なし担々麺も

胡麻を使った日本風の汁なし担々麺も
両方とも存在しています。

このような坦々麺の歴史の中で、
私が商品開発で提案したのが

「1つの汁なし担々麺を注文すると、
四川の坦々麺と日本の坦々麺、両方の味を楽しめる」


という商品です。

最初は胡麻を使っていない
元祖四川の汁なし坦々麺、

途中で胡麻ダレを加えて
味を変えることにより、

日本風の味付けに変わり、
歴史と2種類の味が味わえる。

どうでしょう?
一度食べてみたいと思いませんか?

4.選んでいただくためのネーミングを考える

4番目は、
選ばれるネーミングについてです。

これも商品開発の際に話した内容ですので、
詳細は「P」の「Step4.売れる商品名を考える」をご参照ください。

具体的には、

  • 味や特徴を表現するネーミング
  • 食べる瞬間を思い描けるネーミング
  • 記憶に残る面白いネーミング
  • 2つ以上の特徴を組み合わせたネーミング
  • 生産者のイメージが伝わるネーミング

等があります。

5.注文確率が高まる商品説明を考える

最後に商品説明です。

商品説明は、
ウリの商品を注文する時の

「最後のひと押し」になります。

メニューブックの全ての商品に
商品説明を書く必要はありませんが、

ウリの商品には、
商品説明を書きましょう。

またPOPやポスターでウリの商品を案内するときも
商品説明を入れたほうが良い場合が多いです。

商品説明を作るコツは、
商品説明が上手なお店のスタッフの言葉から作ること
です。

スタッフの説明を参考にして商品説明を作ると、
お店らしい個性的な商品説明ができます。

またスタッフ同士で共有できるように、
商品説明マニュアルを作るお店もあります。

また声掛けが苦手なスタッフやアルバイトが、
商品を説明する際に困ることがあるかもしれません。

そんなときはテーブルPOPを使うことで、
スタッフが「この商品はオススメですよ」と

テーブルPOPを指差しながら
簡潔におすすめできるようになります。

これも注文率アップの仕組みの一つです。

著:笠岡はじめ

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投稿者プロフィール

笠岡はじめ
笠岡はじめ飲食店コンサルタント/販売促進士
飲食とITの専門家。1,000件以上の飲食店コンサルティング実績から再現性のあるノウハウを体系化し、全国の飲食店の売上と利益を上げている。また、中国や台湾、UAE等の飲食店のコンサルティングやプロジェクトを手掛けている。著書に「MSP繁盛プログラム〜どの飲食店でも最短で確実に売り上げを上げる方法」(販売促進士日本フードアドバイザー協会ブックス)、「売れまくるメニューブックの作り方」(日経BP社)、「繁盛飲食店にする1分間セミナー」 (同文館出版)等。「売れまくるメニューブックの作り方」は、台湾と中国でも出版されている。一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。株式会社 飲食店繁盛会代表取締役。三商餐飲顧問股份有限公司董事。

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